空気 -atmosphere-
ニューヨーク郊外のクイーンズのバスの中。
日本と違って、バスの中は肌の色も言葉も様々。
ちょうど帰宅時間と重なっていて、バスの中は大混雑。
ある足の悪い人が乗ってきました。
すると、混んでいたはずのバスの中が、
さーっと空いて、足の悪い人は、簡単に席に座ることができました。
そこには、小さな会話と笑顔があります。
素敵な光景。
欧米では、公園にいても、公共交通機関を利用しても、こんな素敵な光景にたくさん出会います。
ある日、クアラルンプールで、ブキビンタンに行こうとして、モノレールに乗ったら、とても混んでいました。
乗りたいけど乗れない人たちがいて、降りたいけどおりれない人がいて、結構なストレス。
おそらく欧米から来た、ある観光客がいいます。
まるでTOKYOのようだと。
このセリフ、バンコクでも、聞きました。
TOKYOの地下鉄は、世界中で、混んでる交通機関の代名詞。
確かに、東京の朝の通勤ラッシュはクレイジーです。
ストレス以外のなにものでもない。
東京の朝の通勤ラッシュが大好きという人は、まずいないでしょう。
なぜ、こんなに東京の通勤ラッシュは、ストレスがたまるのか?
礼儀正しく、思いやりとおもてなしの精神があり、助け合う日本人達が、
これだけたくさん集まってストレスをためあう。
これは日本では、なかなか他にはない特殊なシーンだと思います。
なぜ世界中から礼儀正しいと称賛される日本人が、東京の朝の通勤ラッシュでは、
ストレスをため合うのか?
それは、おそらく、クイーンズのバスのような、小さな会話と笑顔がないからだと思います。
電車に乗るときも、降りるときも、混んでるからどいてもらわないと動けないときもあります。
しかし、日本人は、なかなか声をかけられない。
欧米では言葉によってコミュニケーションをしますが、
日本人は言葉だけでなく、空気でコミュニケーションをします。
それが、道(ドウ)だったりする。
だから、極度に人が集中した場所で、声をかけあうことが大の苦手です。
心ではわかっているけど、声がでない。
しかし、たまに勇敢な人がいます。
「降りる人がいます。通してあげてください」
すると、混んでいた電車の中に、すーっと道が空きます。
気持ちが通じると、一斉に動けるのが、日本人の強さ。
そして、声を出してくれた勇敢な人に、素直に共感できるのも日本人の強さ。
そして、私はこんな声を聞いて、ほっとする臆病者の一人。
自分にはできない。
わかっていても、なかなかできない人は、たくさんいると思います。
通勤ラッシュの重たい空気を、爽やかな空気に変えてくれる、
勇敢な一言。
日本人として、空気を大事にしながらも、大事なところで空気を変えることができる、
そんな勇敢な人になれたらなって思います。
敵は、通勤ラッシュでもなく、重たい空気でもなく、日本人の気質でもなく、自分自身。
わかっちゃいるけど。。。