RMB (written in Japanese)

中国政府がロンドンで人民元建ての国債を発行する準備に入ったとのこと。

かつて人民元は、貿易における経常取引も開放されていませんでした。
中国企業と貿易する際に、円建てかドル建てか、という交渉は、わずか10年前は当たり前でした。

ところが人民元建て決済が自由化されると、人民元建て比率はすごいスピードで高まり、
今や中国との貿易で人民元建ては普通です。

経常取引が自由化されても、資本取引は自由化されていませんでした。
そこで中国への金融の入り口として香港の位置付けが高まりました。

そして今回、初めて元建て国債を海外で初めて発行するとのこと。
今の株安を引き起こしたのが、中国の元安だったことをもはや忘れる勢いです。

イランが制裁を受けていた中、中国は人民元建てでイランから原油を輸入し続けていました。
そして今、各国がイランへの制裁を解除し、人口が多く、歴史が長く、
そして自動車など製造業も強いイランに注目が集まっています。

イラン市場でも、中国のプレゼンスが高まることは容易に予想できるでしょう。
アフリカでも中国は人民元建てで資源を購入し続けています。

インドネシアでも同様に、中国は人民元建てで資源を購入しはじめています。

世界第2位のGDP。そしていつか第1位になることが確実な国。
ライバルのインドが中国を超えるのは当分先の話です。
その国の通貨に、魅力がないはずがありません。

さて、問題は日本です。

アベノミクス第1の矢。金融緩和は大成功でしょう。
しかしインフレ目標の達成には寄与しませんでした。
効果があったのは円安。
円安になれば大企業の業績が潤います。

しかし、これらは基本的に念頭にあるのは円ドルの交換レートです。

もしアジア地域が人民元圏化した場合、ドルベックならぬ元ベックする国が
増えるでしょう。
しかし円はすでに国際通貨であり、元ベックなどできるはずがありません。

そうなると、アジアで日本は、元との間の為替リスクを負いながら、
アジア企業と競争しなければなりません。

かつて、ドイツがマルクをドルとの間の変動から守るために
ユーロを導入したように、日本もアジアでの基軸通貨を作ることができれば
よかったのですが、今や基軸通貨は円よりも元の方が可能性が高いと思われます。

元が国際通貨として、アジアで支配的な影響力をもつようになったとき、
我が国はどうすべきか?

今から真剣に検討しなければならないように思います。

2015-10-15 | Posted in BlogNo Comments » 

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